次々と迫り来る苦境を打破すること、
その繰り返しが人生だと思っていたのです。
音楽はその慰め、
その道連れ、
その相棒、
正気を保つための最後の砦。
汚泥を駆け抜け、茨を切り拓き、
(音楽と共に)
汚泥を駆け抜け、茨を切り拓き、
(音楽を使って)
その先にまさか、
このような光景が広がっていたとは。
まっさらな、自由の荒野。
それを目前に、
今、私は立ち尽くしている。
想像し得なかった、この世のかたち。
懐かしい汚泥のベッドで眠ることは、
もうないのだ。
懐かしい茨の枕で眠ることは、
もうないのだ。
(もうないのか?)
(懐かしきあの場所へ立ち戻るのか?)
戻ることは、もうない。
そこに満ちている空気を、
胸いっぱいに、鎖骨の上まで吸い込み、
……………。
一つ、溜め息をついたところ。
まずは一歩、
この荒野へと足を踏み入れる。